ああ、大好きだとも そう答えられる人がどれほどいるか?
TVゲーム、アーケードゲーム問わずボードゲームではないコンピュータゲームに発展とともに育ち、ゲームを続けてきた自分にも「敢えて」問われると返答に難しい。
その中でもシューティングゲームに限定すればどうか?
好みのジャンルではあるが、苦手だ 自分はこう答えるしかない。
ゲームセンターで1コインクリアしたシューティングは一つしかないし、それは当時かなり難度を下げていると言われたものだからだ。
だからこそだろうか、とてつもないプレイ(
達人プレイといわれる)を眼にすると心揺さぶられるものがある。
しかしながら、いままでシューティングゲームをほとんどしたことがないものが達人プレイを見たとき、自分もその世界に飛び込もうとするものは少ない。あまりの高難度とストイックさに自分の対処できる範囲を逸脱していると見えるからだ。
だが、漫然と野球少年を続けていた高村はそこに飛び込んだ。
しかも「自分の本気」を試すためだ。
笑うことなかれ。たかがゲームという事なかれ。
胸に手を当てて考えてみるといい。自分は何かに対して「
本気」になったことが本当にあるのか、と。
そして生まれてはじめて「本気」になった少年は1コインに己の技量のをかける。
最高の攻撃手の称号であり、ゲームセンター最強の守り手の呼び名、「連射王」を目指して。
妙に青臭い書き方になったけど、なんというか魂揺さぶられた、マジで。
あるのはシューティングゲームの解説図のみ(しかもテクニックなどの解説だ)のハードカバーなのにゲームの画面と彼の苦闘の様がありありと浮かぶのは、自分がある程度ゲームをこなしている人間であることを差し引いても著者の技量とシューティングゲームへの愛のなせる技なのだろう。
いつもの著者特有の特徴的な言い回しは今回はそれほど無いのだが、必ず著者の作品には登場する主人公を背中で導く大人たちの存在は今回も大きな役割を果たしている。また、チームメイトである仲と、腐れ縁の幼なじみでゲーセンは不良の行くところだと思っており、高村に対してのみ暴力的だが子どもの頃の高村の発言を気にして努力を怠らないラーメン屋の看板娘である岩田のゲームにのめり込む高村への見方の違いと、岩田の心の移り変わりも大きな見所かと。
とても理解のある、男友達とすばらしく妄想を具現化した幼なじみヒロインに乾杯。いつもの夫婦漫才も健在で著者の愛読者はニヤリとできるはず。
しかし、題材がシューティングゲームというかなりカッ飛んだ方向であるにもかかわらず、見事に青春小説なのは何故なんだと。
何というか、TRPGもシューティングもやってきた自分には「ひと夏の経験値」(秋口ぎぐる著 富士見文庫刊)に並び立つ怪作かもしれない。主人公の年齢が高校生だからそこまで青臭くないし、ねらってるわけでも無いけど、過去を思い出すという点では同一だ。それこそ業界初(?)の
シューター青春ストーリーという感じ(笑。
少年ジャンプ風に言って
「連射王に俺はなる!」 みたいな話なのかと思ってたが、さすがにそれは違ったか。著者ならやりかね無いとも思っていたけど。
馬鹿な発言はともかく、シューティングゲームに一時でも熱を上げたことがある人は必読。
ゲームにのめり込む人に対して理解できないと思っている人には、理解への手助けになるかもしれないので読むと良いかも。感情が悪化しても責任はとりませんが。
とりあえず、魂揺さぶられたので
「超連射68K」http://www2.tky.3web.ne.jp/~yosshin/my_works/index.html を再開することにしよう。二週目クリアできずじまいだったし。
ちなみにフリーソフトなのでシューティングゲーム知らない人が体感するにはもってこい。作中ゲーム「大連射」にシステム的に近いので本書を理解する一助となるはず。