多くの日本人がスイスに抱いている幻想とは異なり「理想の国」などではない。ただし、過去に行って政策に対し現在の視点から当時を批判することに関しては注意が必要である。 個人的には過去には傭兵の国、現在はマネーロンダリングのメッカ(最近はそうでもないようであるが)といったイメージがあるが、スイスに対して抱くイメージの大半は永世中立国、平和の国というものが多いかと思われる。
永世中立となると「人道」というものを頭に思い浮かべがちであるが、実際は中立であるために苛烈な施策も辞さないことは政治が純粋なパワーゲームであることを考えれば想像に難くない。
多くの日本人が妄想する「中立」であればどこからも攻められないなどと言うことはあり得ない。最悪の場合はすべてを敵とする覚悟が必要となる。
その極端な例がナチスドイツに対しユダヤ人のビザに赤く「J」のスタンプを押させて入国を拒否したことであろう。当時から今にかけて「中立」であるスイスは難民にとって理想の国と写りがちだ。押し寄せるユダヤ人を効率よくコントロールするためにナチスドイツに上記のような施策を実施させたのだという。
端から見ればナチの手先になったと言われても仕方がない行為だ。しかし当時のスイスは「人道」よりも「国益」をとったと言うことだ。
最近のコソボ紛争においても難民を受け入れこそすれ、紛争終結後には強制送還などの措置をとっている。これも「人道」よりも「国益」をとった結果に他ならない。
また、戦後の冷戦時代には核武装研究を行っている。
「中立」であることを維持するが故にハリネズミのようにならざるを得ないということだろう。冷戦当時を考えればスイスが「中立」を守るために核武装を考えても何ら不思議はない。誰にも攻め込まれることのないための抑止力を彼らは欲したのだ。
そのほか、遊牧民への弾圧ともとれる行為、外国人の国籍取得時のプロセス、政府主導の監視や盗聴、麻薬政策、マネーロンダリングといったスイスの暗部に対して記載がある。
国際政治の中で「中立」を貫くために強硬な策を行うこともあるし、他国同様の様々な問題に悩んでいると言うことだ。
結局のところ「理想の国」なんてものは存在しない、現実を直視せよ、ということなのだろう。